Personal Health Record (PHR) 定義(V1.3)

 PHR協会

<改定履歴>
Version 作成日 尾行
V1.3a typoを修正
V1.3 戦略会議で修正(Public comment版)
V1.2 理事の意見で修正
V1.0 戦略会議で原案を作成

1. スコープ

本PHR定義は、PHR協会が今後の議論を進めるにあたって、PHRの内容、目的などを定義し、PHR協会会員同士及びPHR協会会員外の人との議論を円滑にするための方策である。そのため、この定義はPHR協会会員およびPHR協会関係者を対象としている、また、一般のPHRの概念と一致するものではない。

本定義は、PHRの内容、目的などをスコープとし、データベースなどのシステムを規定するものではない。また、データを匿名化したもの(新個人情報保護法における「匿名加工情報」に準拠して匿名化したもの)は、PHRの対象外である。

2. Glossary

  • PHR: Personal Health Recordsを管理するシステム全体を指す。
  • 個人:PHRが保持する情報の対象者
  • 管理者:特にPHRシステムの責任者
  • 開示範囲:PHRが保持する個々のデータについて開示を制御すること
  • データベースサーバ:PHRを実現するためにデータを保持しているコンピュータシステム
  • メタ情報:データの属性。例えば血圧であれば、測定機器、日時、測定時の状態など。
  • レジストリ( Registry ):PHRシステムが管理する、個人に関するすべての情報のありかを示すインデックス
  • 真正性:故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること、作成の責任の所在を明確にすること。(厚労省の定義する「真正性」に準ずる)

3. 定義

PHR協会の定義するPHRとは、以下の項目を満たすものである。

(1)対象とするデータ

個人が必要なデータはすべて対象とすることができ、個人が必要と思うものを、PHRで集積・管理することができる。対象データを個人が取捨選択できる。

表1 PHRが対象とするデータ(順不同)
対象とするデータ(例) 一部対象から外れるが、オプションとして管理できるデータ(例)
健康診断データ(一般・特殊)
特定健診データ
家庭で発生する情報(体重、血圧、歩数、食事、運動)
医療情報(病院、診療所、在宅)
介護情報
母子手帳
代替医療・サプリメントの利用
個人イベント情報(住環境・食環境・生活習慣・学歴・職歴)
個人の生き甲斐や達成度etc
ACP (Advance Care Planning)
その他
就業情報*(残業時間・有休取得日数、パワハラ・セクハラ、作業環境)
外食産業・宅配弁当*
ストレスチェックで発生する情報*

(*:一部の情報は、個人が責任を持てない、または存在を把握していない場合がある。)

(2)管理方法

個人単位にすべての情報をインデックスできる。
システム間のポータビリティーを保証する(標準規格を使用する)。
メタデータも記録できる仕組みがあること。
必要に応じて真正性を担保できる仕組みがあること。
開示範囲のコントロールを個人ができる仕組みがあること。

(3)目的

PHRの目的は、個人の健康・医療・介護データなどを総合的に管理し、経時的に参照することにより、個人の健康増進や疾病の予防・管理・治療などを通して、個人の健康増進を図る。

(4)管理形態

データの取得については個人が責任を持ち、個人のあらゆるデータ(表1)を対象として、集積することができる情報システムである。データの実体は、複数のデータベースサーバに存在し、一カ所に個人単位ですべての情報のインデックス(Registry)があり、データの実体へのアクセス方法が定まっている。この形態は、IHEのXDSやXCAを想定しているが、必須ではない。

(5)データの保存期限

PHRデータの保存期限もしくは削除タイミングを設定することを必須とする。

PHR協会の使命

PHR協会は、上記PHRの実現をめざし、個人の健康・医療・看護情報などを統合できる情報システムを定義し、特にその標準化やセキュリティの確保を行い、普及を後押しする。

また、PHRの国際的標準化の観点からの検討・発信もPHR協会の役割である。

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Personal Health Record (PHR) 定義

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