山口県薬剤師会の PHR 研修会
「PHR の利用目的とその仕組み」の講演

  1. 名称:PHR 研修会
  2. 主催・目的:山口県薬剤師会 研修会(薬剤師会会員の教育)
  3. 日時:19時~20時半
  4. 講演会次第(各30分間) 司会 山口県薬剤師会 理事 竹村勝樹様
    1. 開会挨拶 山口県薬剤師会 会長 吉田力久様
    2. 森口修逸 一般社団法人 PHR協会 理事
      演題「PHR の利用目的とその仕組み」
    3. 佐藤直市先生 九州大学病院 助教

      演台「デジタルヘルスを用いた
      保健医療情報とライフログの融合と疾病管理への期待」

    4. 有海秀人先生 山口東京理科大学 准教授
    5. 弊会挨拶 副会長 小屋敷 淳子様
      演題「PHRを用いた山口県健康エキスパート薬剤師の可能性」
  5. 講演会形式:原則:Web講演、講師のうち、森口修逸・有海秀人先生は山口市内の県薬剤師会会議室の現地にて講演。佐藤直市先生はWebにてリモートで講演。
  6. 参加者(概ね、薬局薬剤師の皆様 約210名)は全員リモートにて参加。
  7. 森口修逸講演概要:

PHRのこれまで

【スライド2】 北九州マルチメデイア実証実験システムの概要
【スライド3】 EHR(電子カルテ)・PHR(個人健康情報記録)とは
【スライド4】 PHRの定義 www.phrj.org
【スライド5】 PHRの対象

平成11年(1999年〜)に国が実証実験を始めたカード(現在、電子処方箋用に薬剤師の皆様も保有しておられるHPKIカードの初期のもの)を活用して個人健康情報を検索・活用する仕組みに応募し(全国8か所)、実証実験が実施された。
EHRとPHRを表により比較する。特に留意すべきは、EHRを保有する医療機関のように、PHRを管理する母体組織が必要である。
PHR協会のホームぺージに記載した(Personal Health Record(PHR) 定義(V1.3) - PHR Association Japan (phrj.org)を参照。特に、「PHRデータの真正性」について理解が必要で、【スライド3】の「注1: 真正性の確保」を参照されたい。
PHRの対象として、PHR協会は【スライド5】のような情報を考えているが、団体・組織により、異なる。
  • EHR(電子カルテ)・PHR(個人健康情報記録)とは
  • PHRの定義
  • PHRの対象

PHRの利用目的の拡充(1)

【スライド6】 PHRによる医師・薬剤師・患者の連携
【スライド7】 PHRの必須のシステム要件(図)
【スライド8】 PHRの必須のシステム要件

厚生労働省のPHRの定義は、今のところ、健診分野に限定しているが、薬剤師の皆さまに関しては、かかりつけ薬剤師の電子処方箋システムに関連する処方箋情報と服薬情報提供書の他に、さらに【スライド8】 の情報に加えたPHRの情報とシステム要件の追加の検討が必要である。
  • PHRによる医師・薬剤師・患者の連携
  • PHRの必須のシステム要件(図)
  • PHRの必須のシステム要件

PHR の利用目的の標準化 (資料 P9~11)

【スライド9】 EngagementツールとしてのPHR
【スライド10】 調剤薬局におけるPatient Engagement
【スライド11】 薬局業務の変遷とPHRの関係事例

WHO(世界保健機構)では、本人の健康管理・疾病管理において、本人関与の向上(Patient Engagement)には、PHRの活用が必要とされている。本人のPHRを医師・薬剤師をはじめとする医療職に正しく伝え、医療職はその情報を適切に活用することが必要である。かかりつけ薬局においては、今後は医師との連携により、患者の対人業務に必要なPHRを収集し適切に活用する能力のある薬剤師が望まれる。また、適切に活用するツールとしてのPHRが望まれる。
  • EngagementツールとしてのPHR
  • 調剤薬局におけるPatient Engagement
  • 薬局業務の変遷とPHRの関係事例

PHR普及のための標準化(技術面)

【スライド12】 地域医療/薬局連携へのPHRの利用
【スライド13】 かかりつけ薬剤師の役割向上のためのPHR
【スライド14】 ITによる医薬連携を行うためにFHIR化へ

地域医療・薬局連携へのPHRの利用が、現在、研究中で、

  1. マイナポータル上のデータ
  2. 電子処方箋上で交換する、処方箋データと服薬情報データ
  3. 3文書・6情報の入院情報 等が近々、医療情報ネットワーク上に搭載され、さらに、PHRから参照可能な状況になると期待される。

これらの情報を搭載したPHRを患者本人と薬剤師を含む医療職の適切な利用により、患者の関与による適切な治療が望まれる。
医療情報の分野では、FHIRの導入により、「医療関連の管理業務に関するデータ、公衆衛生に係るデータ及び研究データも含め、医療関連情報の交換」に、役立つものと、期待されている。(【スライド27】参照
これら、DX技術とかかりつけ医・かかりつけ薬剤師等の制度の整備により、医薬連携は革新的な発展が期待できる。
PHRは、患者の人生における保健医療の経緯と最近の各医療機関の投薬・検査結果等を搭載されている、薬剤師業務の「対物から対人へ」の革新には、薬剤師によるPHRの活用が極めて重要であるとして、今回講演会に参画した3人の講師の意見は図らずも一致した。

  • 地域医療/薬局連携へのPHRの利用
  • かかりつけ薬剤師の役割向上のためのPHR
  • ITによる医薬連携を行うためにFHIR化へ

【スライド 15】【ま と め】

  • まとめ
  • 一般社団法人 PHR協会 理事 株式会社エム・ピー・オー代表取締役 森口修逸
  • 森口の保険医療情報関連の実績

(以下 付録:講演では説明せず。)

個人情報保護法とPHR

【スライド 18】 個人情報保護法制の変遷と国家間の情報交換
【スライド 19】 個人由来の情報とその活用
【スライド 20】 仮名加工情報の事例
【スライド 21】 匿名加工化手法
【スライド 22】 スノーデン事件
【スライド 23】 Metadataとは何か?」(日本法では「個人関連情報」に該当)
【スライド 24】 「生活の、とある一日」

令和2・3年4月に、個人情報保護法は改正され、匿名加工情報の他に、仮名加工情報と個人関連情報が制定され、PHR等のデジタル化されたデータを活用することが容易になった。現在、保健医療分野でのこれらの非個人情報の具体的な活用施策の検討が必ずしも十分とは言えないため、PHR等でDXが具体的に推進される前に、関係諸機関は、活用方法について検討を進めておく必要がある。
  • 個人情報保護法制の変遷と国家間の情報交換
  • 個人由来の情報とその活用
  • 仮名加工情報の事例
  • 匿名加工化手法
  • スノーデン事件
  • Metadataとは何か?」(日本法では「個人関連情報」に該当)
  •  「生活の、とある一日」

PHRの利用目的の拡充(2)

【スライド 25】 PHR活用によるかかりつけ医・かかりつけ薬剤師の役割
【スライド 26】 本人関与度の向上のために
【スライド 27】 参考資料1:HL7 FHIRの特長
【スライド 28】 参考資料2:個人由来情報の匿名加工化による利活用

電子処方箋システム等の実用化により、PHRの活用にも影響を与えてくる。PHR協会は、特定の健康管理や疾病管理以外の一般的な疾病にも、PHRの活用方法について、検討を進めている。また、PHR活用の有用性とその具体的方策に関しても、検討を深めるべきと考えている。
  • PHR活用によるかかりつけ医・かかりつけ薬剤師の役割
  • 本人関与度の向上のために
  • HL7 FHIRの特長
  • 個人由来情報の匿名加工化による利活用

講演資料(PDF | 3.7MB)

会場の様子

  • 森口修逸
    (PHR 協会)
    竹村勝樹理事
    (山口県薬剤師会)
    有海秀人先生
    (山口東京理科大学)

  • 有海秀人先生
    (山口東京理科大学)
    竹村勝樹理事
    (山口県薬剤師会)
    永田一郎様
    (山口県薬剤師会)

  • 有海秀人先生 竹村勝樹理事 森口修逸

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